「おメモ、“君の名は。”どうでした?」
ある日、大捕さんに尋ねられ、
「まだ見てないですけどダメでしょ。あの新海誠ですよ、信用しちゃいけないですよ。」
と見てもないものを適当にdisるのは悪い癖です、ごめんなさい。
数日後、あまりに流行っているらしいとのウワサを聞いて初めてTrailerを見ました。
隕石?流星?が飛んでて男女が入れ替わって・・・、「あっこれSFやん」。
それから今日まででもう何回みたことか。たぶん5回、いや6回見てます。
もう一度言わせててください。
新海監督、見てないものを適当にdisってゴメンナサイ。
お詫びに原作小説も外伝小説もムック本もCDも買いました。
内容も回数を重ねるといいかげん覚えました。
早くBlu-rayも出ないかと心待ちにしています。何なんらDVDも買いそうな勢いです。
それくらい面白い。
こんなのって“まどか☆マギカ”以来です。
内容が薄いだの、入れ替わりなんてありきたりだの色々陰口言われてるようですけど、そりゃそうですよ昔からあるネタ、王道のオンパレードなんですから。
所々に新海監督のフェティシズムが垣間見え、見るたびに新しい発見があってものすごく上質なエンターテインメント作品だと思います。
最初見たとき、OPで全てを語っているには驚きました。冒頭アバンの数分で「あぁこれラストシーン・・・」と思わせておいて続くOPで物語全部語り尽く。気づかない人はそのまま楽しんでもらって分かる人だけにわかる仕掛け。憎たらしいったらありゃしない。
OPっていえば“君の名は。”でRADWIMPSを初めて知りました。最初読めなかったです(笑)。映画にあったよくできた曲だこと。やり過ぎ感ありますけどそれくらいでちょうどいいのかもしれないですね。
先日、岩崎和夫さんが“君の名は。”をミュージック・クリップと評してましたが言い得て妙とはこのことで、ある意味正解だと思います。じゃないと何回も見れないです。MCだからRADWIMPSの曲が心地よく聴けて、たとえ映画の内容が薄くても気持ちよく見れる。名作には名曲ありで、よく聴けばRADWIMPSの歌詞とストーリーがちゃんと補完されてるので理解したい人にはより面白い。
けっしてストーリーが薄いとは思ってませんよ。見るたびに新しい発見がありますから。よく伏線回収って言われますけど、“君の名は。”はしっかり回収していると思います。ネットで色んな考察が出てますけどどれも面白い。映画の見方なんて千差万別ですからサクッと一回見て楽しむのもあり、何回も見直して深いところまで考察するのもあり。一見ただ楽しいだけのエンタメ作品でもありつつ懐の深い作品でもある“君の名は。”には脱帽するしかないです。ほんとみんな帽子をとればいいよ。薄くてもいいから正直になろうよ(笑)
伏線といえばもう5回以上見てますけど、わからない点がまだあったりします。
まずティアマト彗星の軌道が気になって仕方がない。劇中で2回程テレビに映るんですけど、物理法則上間違ってはないと思うけどどうも気に入らない。それと“君の名は。”のタイトル。OPは白文字、EDは黒文字、何か意味があるの?
何か意味があるはずだと思ってはいるのですけど理解不足で申し訳ない。誰か正解を教えてください。ネットの考察探してもまだ見つけられいないです。もしかして考察に値しない?それはそれで寂しい。考察がたくさんあってキリがないですから。
だって“組紐”や“結び”の謎を考えていると、三葉の髪型の編込みが組紐に見えてくるんです。たぶん本当に演出であの髪型にしてるんでしょうけど編み方が理解できない。気になってもう病気です。
ユキちゃん先生が出てくるのはご愛嬌としても、映画の冒頭で『彼が誰かわからなく時間、人ならざるものに出会う時間』の黄昏時を説明するシーンで、『誰そ彼(たそかれ)、彼誰そ(かわたそ)、彼は誰(かはたれ)』と続いて『カタワレ時』をわざわざ説明させといて、最後の瀧と三葉の出会うときにカタワレ時を使うのは緻密というよりか恥ずかしい演出。でもまわりのたぶん女子は泣いてました。監督の策略にハマりやがって(笑)
まあ女子的なハマり方はこの際少し置いといて、DT男子のエロ目線から言えば三葉のおパンツの蝶々柄が、奥寺先輩の切られたスカートの刺繍と同じ柄だったのには萌えました。スカートとパンツの違いはあれど、どっちもお尻です。監督がお尻フェチがどうかは知りませんけど何かあるに違いない。作品中ではおっぱいがフィーチャーされてましたがお尻もなかなかだと思います。
おっぱいといえば最初はユルユルのパジャマだったのに入れ替わりが始まった途端にブラして寝るなんて、意味があるのかどうかは別にしてなんてガードのかたいことで。すいませんエロくて。
エロを抜きにしても、入れ替わりが宮水女系の伝統って設定になってましたけど、映画ではほとんど描かれていないお母さんの二葉も外伝でそれらしい事があるようなないような記述があったりで、もしかしたらお母さんの二葉とお父さんが昔入れ替わっていてその後結ばれて三葉、四葉が生まれてたのなら血筋というより呪いのような妄想も膨らみます。
それに奥寺スカートのハリネズミが大人三葉の部屋にあったり、ベットや布団からの起き方で入れ替わりがすぐに分かったり、三葉と瀧の書き分けが緻密で見るだけで中身が誰かわかるなんでよく出来てます。
これって今までの新海誠じゃ無理?。表現が下手ではないけど今までの作品とは少し違う感じがします。やっぱり作画監督の田中将賀、安藤雅司の影響なのかも。新海誠だけじゃ無理、出来ない事は人に任せて監督に専念したからヒットした?と勝手に思っています。今までの新海誠作品が『すれ違う少年少女のラブストーリー』だとしたら“君の名は。”は『美しくもがくラブストーリー』なんでしょう。たしかに瀧と三葉は実際もがいていました。それにRADWIMPSの曲にも書いてありますし。
悲しいのは、“シン・ゴジラ”があれだけ期待されてあっさり話題と成績をもってもってかれたことでしょうか。
どちらも東宝なので腹は痛まないでしょうけど。
“シン・ゴジラ”面白かったですけど、かすんでしまった。まさかここまでとは誰も思わなかったでしょうし。
そういえば初代「ゴジラ」と初代「君の名は」って同じ年の公開らしくて、これも演出だったりしたら面白いのに。
どちらにしても、アニメ出身の庵野秀明が作った特撮と、アニメ畑じゃ無い新海誠が作ったアニメが邦画記録を塗り替えるなんて痛快でうれしい出来事なんでしょう。ニヤニヤが止まりませぬ。
でももうすぐ(たぶん)200億越えようが何しようが、映画通の人には評価されないのでしょうね。重厚長大な重たいテーマや権威が好きな人にはエンターテインメントは不要で、いくら興行収入という物差しで本年度No.1になろうともアニメっていう時点で評価にも値しないんでしょう。ハリウッドなんてもっと中身無くて派手な演出だけで評価されるのに。寂しい限りです。
実写映画がダメとはいいませんが、漫画原作ばかりを量産したり、しがらみに縛られれている限り先は暗い。ハリウッドにしても同じでアメコミが幅を利かせているようじゃ今後どうなることやら。
MARVELアメコミなんて最たる例でしょうけど、やっぱお金かけた見た目は重要なんでしょうね。まぁ世界を相手にしている作品と島国ローカル作品を比べるのが筋違いなのはわかります。ただ今年のジブリやディズニー、スター・ウォーズやMARVELを打ち負かした、なぎ倒した事は素直に喜びたいです。今後の映画にいい影響があらんことを願います。
ではまた。
と書きたいところですが、もうすこしだけ。
自分的には“君の名は。”ブームはそろそろ収束気味なところに“聲の形”ブームがきてます。
とりあえず、いやまずは2回みました。もう少し見てみたです。
賛否両論ある作品です。否の方が多かもしれません。
そりゃそうです。現実ならひどい話です。アニメでよかった。それより前は漫画ですけど。
歴史にifはありませんが、もし“君の名は。”が今年じゃなければ№1になっていたと思います。
そこからして不幸です。もったいない。
ツッコミどころ満載ですがそれにもましてカタルシスがある作品です。
語りたいことがいっぱいですけど、それについてはまた後日。
もう一回ぐらい見て、いやその前に原作も読んでから語りたいと思います。
あれ?“聲の形”もだけどもうすぐ“この世界の片隅に”も始まるんだった。
今年は良作が多すぎる。こまったこまった。
ではまた。