
虐待の負のスパイラルをテーマにした系譜のドラマかと思い観たけど、物凄く練られた、数年に1本レベルの作品だった。
残虐シーンが売りみたいだけど、この作品の本質はもっと深いところにあり、前半は虐待の連鎖を断ち切る事が出来るのか?と思わせ中盤から後半かけては見事にやられた!と思わせる展開、仕掛けが待っている。
実際に起こった虐待事件や猟奇殺人などを綿密に調べて参考にし、抽出して作品に取り込んでいるのが見て取れた。
それプラス物語の練り方、構成が素晴らしい。
虐待の連鎖を断ち切れずにフジコがモンスターに変貌していったと思いきや、絶妙な捻りが効いていて、そう単純ではないと気づく。
キラーワードとも言うべき、「宗教」「整形」「リセット」「家族」「金」「闇」「洗脳」…。
演出の上手さもあり、思うところは多々あったな。
自らの絶対に満たされない渇望のためにやりたい放題の殺人鬼・フジコに怒りと何故か複雑な感情を抱く自分がいた。
虐待を受けた経験のある人は特にこの感情は分かると思う。
だからかラスト、同情もしないけど可哀想な奴だなと不思議な感覚になったんだと思う。
頭ではとんでもない奴だと分かってはいるけど…。
それにここからはネタバレになるから書けないけど、根っからのサイコパスではない仕掛けもあるし。
虐待をテーマにした作品の代表作になるかも知れない。重いテーマに練りに練られた脚本、まさかの仕掛けに抜群の演出、それに飽きさせないエンターテイメント性…。
久々に前のめりになった作品と出会った。
6時間40分、全6話の長丁場だけど映画にしても良いと思ったね。「愛のむきだし」みたいに。
それと、フジコ役の尾野真千子の凄みと存在感がなければこの作品は成立しなかっただろうな。
頭にあるのは、怒り、渇望、恐怖、嘘っぱちの幸福、絶望、…。この役を演じる尾野真千子は凄いな。
あと、フジコの若い時代の役者も怖くて上手かったなあ。
と思ったらお馴染み「鈴木先生」組の役者だった。
ところで「鈴木先生」と「桐島」に出演していた役者、映画にドラマにと大活躍してるな(笑)
地上波のドラマは殆ど観れたもんではないらしいけど、まだまだ捨てたもんでもない。
原作では続編があるし、まだまだ描ききれていない部分もあるし是非また続編やって欲しい!