自分は中学二年生。十四歳。突然TVから流れてきた「カモン、カモン、カモン、カモン」の歌声。
それはガムのCMのBGMであったと記憶している。
曲はビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」
CMの映像は「ミート・ザ・ビートルズ」のLPジャケットを模倣していた(かな?)。
当時歌番組も見ていたが、不思議に松田聖子等のアイドルに興味はなかった。
レコード一枚も買った覚えもなく、ポスターなぞも貼ったことがなかった。
(好きな女の子と同じ名前だった河井奈保子はちょっと興味はあった。理由は巨乳。)
同級生と話をしていた時にひょんなことからビートルズの話になり
その彼からカセットテープを借り、家で聴いてみた。
モノラルの簡易なラジカセしかなかったが、「ツイスト・アンド・シャウト」、「キャント・バイ・ミー・ラブ」等々
その他何回も飽きず聞いた。というか何回聞いても飽きないのだ。
歌詞も判らない、音楽的なことも知らない。楽器も出来ないので演奏が上手いの下手なのかも判断できない。
でもそれまで聞いたことのない音に夢中になった。まだ動画は見たことはなかった。
両親に「また同じもの聴いてる。」呆れ果てられるほど何回も聞いた。
また、「ザ・ビートルズ・シネ・クラブ」(現「ザ・ビートルズ・クラブ」)に入会している同学年の子から
会報誌を借りて読んだりと家にいる時は、ビートルズ一色の毎日。
夕方サンテレビでビートルズのアニメも放送されていた。
そしてそろそろ貸レコード店が出来てきた頃。
阪急吹田から関大前までレコードを借りに行った。遠い距離を自転車に乗って。
初めて借りたのは「オールディーズ」という編集版だったような気がする。
「エリナー・リグビー」を初めて聞いて「こんな曲もあるんや。」と思ったのも衝撃的だった。
家にレコードプレーヤーはあったが、プレーヤーに直結してカセットテープに録音できなかった。
どうしても自分のステレオが欲しくて、親に頼んだ。
正直あまりよい返事はされなかったことは覚えている。
ただ、購入に際しての条件の提示があり、「二学期の期末テストの成績がよかったら考えてもよい。」との事。
モチベーションを与えられた自分は、多分学生時代全てを含めた中でも一番勉強していたと今になってでも思う。
平日夜はMBS「ヤング・タウン」、土曜の夜は「浜村淳のサタデー・バチョン」「鶴光のオール・ナイト・ニッポン」聴きながらではあるが。
「ビートたけしのオールナイト・ニッポン」はまだ数回しか聞いていなかった。(タイマー録音もできなかったので)
そしてテストの結果は5教科500点で480点近くの点数。(^◇^)
約束通り日本橋にいって念願のステレオ(と言ってもカセットデッキ・チューナー一体型だが)とスピーカーを手に入れた。
家にステレオが届き一番にかけるのはもちろんビートルズ。
ここから数年の間にその山の遥かな頂きの高さを知ることになる。
自分はまだまだ登山口に立ったばかりだったのだ。