本格推理小説が好きで、今もカーとかクリスティとかを枕の横に置いています。高校生の時に、「ホッグ連続殺人事件」という推理小説を買ったのですが、どうもこれはとっつきが悪く、ずっと積ん読状態でした。大学生になり成人になり、何回か読破しようとしたのですが、そのたびに挫折しました。この作品は完読出来ない—そう思わないでおられませんでした。それが、この前一気に読んでしまったのです。今度は止まりませんでした。何回もの挑戦が嘘のように、まるで砂漠に水をまくように、僕の頭のなかにホッグ連続殺人事件が染み入ってきたのでした。そして、その感想ですが、最高でした!これぞ、本格推理小説と呼びたい力作でした。本格推理小説というのは、提出された不条理な謎が、いかに理論的に解決されるのかを読み込むものです。提出される謎は、奇怪であればあるほど、不可能であればあるほど興味深いわけですが、その分理論的な解決が難しくなります。いくら魅力的な謎でも、その解決が現実ばなれしていれば、意味がないのです。例えばですが、殺人事件の前に、3メートルくらいの巨人が目撃されたとしましょう。その謎解きが、「あれは、犯人が化けていたものです。竹馬はいて、ロングコートを着てね。その理由はみんなを怖がらせようとしたんです」では嫌でしょう。犯人が巨人に化けなければいけない理論的な理由がなければ、3メートルの巨人を出してはいけないのです。ホッグ連続殺人事件の最大の謎は、犯人がなぜホッグと名乗ってるのかに尽きます。で、その最大の謎が本編の最後の一行で解き明かされるのです。嗚呼、その最後の言葉を読んだ時の感動は生半可ではありませんでした。みなさん、その感動を味わってください。ホッグ連続殺人事件、最後まで読みきってください。そして、互いに感想を語り合いましょう!